「日本の不動産価格はこのまま上がり続けるのか、
それとも下落に転じるのか」
ここ数年、不動産価格は高止まりしてきましたが、
マクロ環境は確実に変化し始めています。
結論から言えば、
日本の不動産価格は値下がりするのではないでしょうか。
その理由を、金利・為替・インバウンドという大きな視点から整理していきます。
金利上昇が不動産価格に与える影響
まず最も大きな要因が、日本の金利上昇です。
これまで日本は長期間にわたり「超低金利」が続いてきました。
しかし、短期金利・長期金利ともに上昇局面に入りつつあります。
金利が上がると、次のような影響が出ます。
- 企業向け融資金利が上昇
- 不動産デベロッパーの資金調達コストが増加
- 住宅ローン金利が上がり、個人の購買力が低下
特に住宅市場では、
月々の返済額が増えることで「買える人」が減るため、
需要が鈍化しやすくなります。
不動産価格は「買える人の数」で決まる側面が大きく、
金利上昇は確実に下押し要因になります。
日米金利差の縮小と円高の影響
次に重要なのが、為替(円高)です。
仮に、
- 日本の金利が上昇
- アメリカの金利が低下
という状況になれば、
日米金利差が縮小し、
円高が進行する可能性があります。
円高になると、次のような変化が起こります。
- 海外投資家から見た日本不動産の割安感が薄れる
- インバウンド(訪日外国人)の消費意欲が低下
特に影響が大きいのが、
ホテル・民泊などの宿泊系不動産です。
インバウンド減少とホテル価格の下落リスク
近年、ホテル価格はインバウンド需要の回復
によって大きく上昇しました。
しかし多くのホテルでは、
ダイナミックプライシング(需要連動型価格設定)
が導入されています。
つまり、
- 需要が多ければ価格は上がる
- 需要が減れば、価格は即座に下がる
という構造です。
円高が進み、訪日外国人のコスト負担が増えれば、
宿泊需要は想定以上に早く冷え込む可能性があります。
結果として、
- ホテルの稼働率低下
- 客室単価の下落
- 収益不動産価格の調整
といった流れは十分に考えられます。
中国との関係悪化によるインバウンド低迷
もう一つ見逃せないのが、中国との関係悪化です。
中国人観光客は、
インバウンド消費の中でも非常に大きな割合を占めてきました。
しかし、
- 政治的な関係悪化
- 渡航制限・規制リスク
- 中国国内経済の減速
これらが重なれば、
中国からの訪日客が回復しない、
もしくは再び減少する可能性があります。
特に影響を受けやすいのは、
- 都市部のホテル
- 商業施設
- 観光地周辺の不動産
インバウンド依存度が高い不動産ほど、
価格変動リスクは大きくなります。
その他、日本の不動産が下落する可能性のある要因
ここまで挙げた以外にも、
日本の不動産価格を下押しする要因はいくつか存在します。
人口減少と空き家問題
日本は構造的な人口減少社会です。
特に地方では、住宅需要が長期的に減少し、
空き家の増加=価格下落につながります。
実質賃金の伸び悩み
物価は上がっても、
実質賃金が伸びなければ住宅を買える人は増えません。
所得が伸びない中での金利上昇は、不動産需要にとって逆風です。
オフィス需要の変化
リモートワークの定着により、
- オフィス縮小
- 空室率上昇
が起これば、オフィスビル価格は調整を迫られます。
海外マネーの流入鈍化
これまで日本不動産を支えてきた海外投資マネーも、
- 為替
- 金利
- 地政学リスク
次第で流出に転じる可能性があります。
それでも不動産が「一律に暴落する」とは限らない
重要なのは、日本の不動産がすべて一斉に下落するわけではないという点です。
- 人口が流入する都市部
- 交通利便性の高いエリア
- 需要のあるコンパクト物件
こうした不動産は、
調整局面でも比較的底堅く推移する可能性はあります。
今後は、「不動産全体」ではなく、
エリア・用途・収益構造を見極める時代に
入ったと言えるでしょう。
まとめ|今後の不動産市場は“選別の時代”へ
今後、日本の不動産価格が下落する可能性は、
以下の要因から十分に考えられます。
- 金利上昇による需要減少
- 円高によるインバウンド低迷
- 中国との関係悪化
- 人口減少・空き家問題
一方で、すべての不動産が同じように
下がるわけではないかもしれません。
これからの不動産市場は、
「持っていれば安心」から
「見極めないと危険」な市場へと変わりつつあります。
今後、不動産を購入・保有・売却する際は、
マクロ環境の変化を踏まえた
冷静な判断がますます重要になるでしょう。


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